導入事例:済生会新潟第二病院


臼蓋側簡易術中支援デバイス Hip COMPASS の精度検証

目的

Computer assisted surgery (CAS)の導入により三次元的な手法で評価や術中支援が行われるようになってきたが、ナビゲーションは精度が高い反面汎用性が低くコストパフォーマンスが問題となっている。
本研究の目的は臼蓋側簡易術中支援デバイスHip COMPASSのカップ設置角度誤差を2施設間で比較することである。

対象

2010年11月から2012年4月までに関連病院A及びBでHip COMPASSを用いてTHAを施行し術前後にZed Hipで計画・評価しえた99関節
・A群59関節 ・B群40関節

術前計画

術前CT データよりZed Hip(レキシー社)にて計画
Functional pelvic plane (FPP)に対し
カップ:

  • radiographic inclination (RI) 40度
  • radiographic anteversion (RA) 20度

大腿骨座標系に対し
ステム:

  • anteversion (SA) 20度

ただし仙骨傾斜角が臥位と立位で15度以上後傾するもの又は前骨盤基準面が20度以上後傾しているものはRAを減じるように計画

アプローチ

Supine modified MIS Watson-Jones approach

使用インプラント

32mm骨頭径を基本
セメントレスタイプ
Aesculap社 BiCONTACT total hip system

術後リハビリテーション

外転枕等は使用せず、翌日より全荷重離床

術後評価

再度CT撮影を行いZed Hipにて評価

術後CTにCADデータを重ね合わせて計測評価

Hip COMPASSの実際

① 圧縮軟部組織厚の実測

特殊デプスゲージにてASIS及び恥骨部を穿刺

② パラメータの入力

骨盤幅・骨盤高・RI・RAを術前計画から、圧縮軟部組織厚を実測値から算出し、それぞれの値を用いてデバイスの幅・角度・脚長を調整しておく

③ K-wireで固定

④ リファレンスをみながらリーミング

⑤ リファレンスに平行となるようカップを設置

スクリュー固定後カップホルダーを再装着しデバイスリファレンスとカップホルダーの角度を実測、術中妥協誤差を補正した術後計測値との差(絶対値)を設置精度とした

結果

A群

  • RA 平均2.3±2.2度 (0~13)
  • RI 平均2.1±1.8度 (0~7.4)

B群

  • RA 平均2.5±2.1度 (0.1~9)
  • RI 平均2.9±1.9度 (0.1~8)

両群間に有意差(-)

考察

Hip COMPASSは汎用性を重視した臼蓋側簡易術中支援デバイス
軟部厚を補正することでAPPを術野で再現し、設置角度をナビゲートするシステム
CT矢状断面における合成模式図

用手的に軟部組織を押し込むため術者間での誤差が生じる可能性→2施設で異なる術者が行っても比較的高い精度が再現

<本研究の誤差要因>

  1. 特殊デプスゲージでの計測
  2. リファレンスとの確認が目視
  3. 軟部組織越しにHip COMPASSを押し込む
  4. Hip COMPASSをレジストレーションポイントに置く
  5. 術後計測

① 特殊デプスゲージでの計測

用手的に非可逆的皮膚損傷が起きない程度に押し込むための誤差

② リファレンスとの確認が目視


カップホルダーとアングルリファレンスが平行である確認は目視で行うため誤差の要因となりうる

③ 軟部組織越しにデバイスを押し込む


デバイスの押し込み方によりアングルリファレンスの示す角度が異なる

④ Hip COMPASSをレジストレーションポイントに置く


軟部組織は骨上でずれやすいため設置は術者が再度確認することが必要
*レジストレーションポイントが触れない場合は適応外

⑤ 術後計測


ビギナーでは数度になることがあったことから術後評価も検者が正確に行うことが必要

本デバイスの問題

① 仰臥位でのみ使用可能

基準となる骨盤が動き易い側臥位で使用できない

② 位置情報をナビゲートできない

位置は術者の経験によるためビギナーの安易な使用は不可

③ 肥満症例には使用不可

レジストレーションポイントが触れない場合は適応外

社会福祉法人 恩賜財団 済生会新潟第二病院
整形外科
〒950-1104 新潟県新潟市西区寺地280-7
http://www.ngt.saiseikai.or.jp/

医療法人新潟臨港保健会 新潟臨港病院
整形外科
〒950-0051 新潟県新潟市東区桃山町一丁目114番地3
http://www.rinko-hp.com/

新潟大学医歯学総合病院
〒951-8510 新潟市中央区旭町通一番町754
http://www.nuh.niigata-u.ac.jp/

新潟大学大学院医歯学総合研究科
機能再建医学講座 整形外科学分野
〒951-8510 新潟市中央区旭町通一番町757
http://www.med.niigata-u.ac.jp/ort/